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【開発事例】弊社量産用印刷機と銀インクを用いて、プリンテッドエレクトロニクスにおける回路設計の基本特性について研究開発を行いました。


ベタ電極の表面粗さの改善

 インクが塗りつぶされている電極を「ベタ電極」といいます。また、版面に凹凸がないものを「ベタ版」といいます。

下図のように100%ベタ版で印刷を行うと、印刷時にかかる印刷圧力(印圧)により、インクの逃げ場がなくなります。これによってインクは山脈上に凝集し、表面が粗く、抵抗値がばらつきます。

 そこへ、dot彫刻を施したdot版で印刷すると、印圧によるインクの逃げ場ができて均一にインクが分散され、抵抗値のばらつきを抑えることができます。

線幅線間・膜厚・体積抵抗率評価

評価用電極
評価用電極

左図の評価用電極を使用しています。

ベタ間(■)の線長は10mmです。ベタ間の線幅を変更して、MD(搬送方向)、TD(垂直方向)それぞれの実際の線幅、膜厚、及び抵抗値を測定しました。

※平均膜厚=断面積/線幅

 

<結果>

  • 弊社フレキソ印刷、銀インクでの最小線幅は100µmです。設計線幅より、30~50µmほど太くなります。それに伴い、直線が並列して並んだ状態のパターンにおける線間(直線と直線の間)は、30~50µmほど狭くなります。
  • 平均膜厚は300nmです。(弊社はフレキソ方式での印刷を行っています。今回使用したアニロックスロールは1,200線ですが、700線のアニロックスロールを使用すると800nmほどの膜厚が得られます。)
  • 体積抵抗率は、5~10µΩ・cmです。メッキをすることでさらに抵抗値を下げることができます。

パターン再現性

 パターン印刷の再現性を評価しました。

 以下のように、印刷のばらつきは線幅が狭いほど大きくなりました。

 

設計値50µm  :(62-54)/54*100=14.8%

設計値80µm  :(100-89)/89*100=12.3%

設計値100µm :(125-120)/120*100=4.1%